じんぽ

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片想いしてる姉の友達の弱みを握った【じんぽ】

恋と噂と、裏側の顔――その全部が絡み合う、胸のざわつく青春ラブサスペンス。野球部に所属する上野が密かに想いを寄せるのは、姉の友人でありチアリーダー部の部長でもある相葉 咲。学内では彼女と野球部主将の交際が噂されているものの、上野はそれを信じきれず、淡い期待を胸に抱き続けている。そんな中で訪れる、三人での昼食というささやかな幸福と、その直後に目撃してしまう“決定的な光景”。物語はここから一気に不穏な色を帯びていく。さらに咲の“裏垢”という、彼女のもう一つの顔を知ってしまったことで、上野の心は揺れ動き、純粋な恋は疑念と混乱に飲み込まれていく。好きだからこそ知りたい、でも知ってしまったからこそ戻れない――そんな感情の綱引きが、読者にもリアルに突き刺さる構成だ。60ページというボリュームの中で、恋のときめき、嫉妬、自己嫌悪、そして決断までを丁寧に描き切っている点も評価したい。単なる三角関係に留まらず、「人は誰しも複数の顔を持つ」というテーマが通底しており、キャラクターの言動一つひとつが後半に効いてくる脚本の巧みさも光る。甘さと苦さが同時に残る後味は、読み終えた後もしばらく余韻を引きずるタイプ。恋に正解がないことを知っている人ほど、上野の選択に自分を重ねてしまうはずだ。