準社員井上 真白もにかは蠱惑に搾りとる【準社員井上】
会社では結果ばかり求められ、家庭では「期待」という名の圧力がのしかかる。気を抜ける瞬間すらないまま過ごしていた主人公にとって、婚約者・依智子との時間だけが“まともな人生を送っている”という唯一の証明だった。だがある夜――二人での食事の帰り道、無理が祟ったのか、主人公は駅で倒れ込んでしまう。そんな彼の前に偶然現れたのは、大学時代の後輩・真白もにか。久しぶりの再会に、懐かしい空気が流れる。居酒屋で交わす学生時代の思い出話は、主人公の張りつめていた心を思わず緩ませていく。……が。気づけば急激な眠気に飲まれ、彼の記憶はそこで途切れてしまった。そして翌朝。見知らぬ部屋で目を覚ました主人公に、もにかはスマホの画面をそっと差し出す。そこに映っていたのは――泥酔した主人公の上で、彼にまたがるもにかの姿。無邪気な笑顔のまま、けれど逃げ道を塞ぐように、甘く、残酷な言葉が連なる。「これ、婚約者さんや会社の人に見せたら……どうなるんでしょうね?」「ばれないためには、どうしたらいいのかなぁ」「ねぇ、せんぱい。教えてよ?」
