八百万★社中 人妻催●あやつられ【八百万★社中】
日常のトラブルから始まる“主導権の逆転”を描いた、クラシックな催●テーマの一作。勝気で自立心の強い人妻・紗栄子が、些細な口論をきっかけに過去に名を馳せた催●術師と対峙する導入は、緊張感と不穏さを自然に積み上げていきます。物語の核は、意識はあるのに選択ができない状態という矛盾。催●という装置を通して、理性と身体反応の乖離が丁寧に描かれ、強さを誇っていた主人公が少しずつ自分の境界線を見失っていく過程が印象的です。屈辱や恐怖だけでなく、戸惑い、混乱、自己嫌悪といった感情の揺れが物語を前に押し出します。また、本作は“外的な侵入”よりも、家庭という安全圏に生じる歪みを強調。日常と非日常が同居する夜の描写が、読後に重い余韻を残します。催●というジャンルの王道を踏まえつつ、派手さよりも心理の不可逆性に焦点を当てた構成は、同テーマに慣れた読者にも新鮮でしょう。総じて、刺激よりも心理劇を楽しみたい人、主従や支配の構図が反転していく過程を味わいたい人に向いた作品。八百万社中が“一度は描きたかった”という意気込みが、落ち着いた語り口と構成力に表れています。
