八百万★社中 近くのお弁当屋さんにパートに出た母高原裕子42がはじめて家族に嘘をついたんです。【八百万★社中】
シリーズ第7作目となる本作は、「家庭」という安全圏に生じた小さな綻びから、取り返しのつかない変化が始まる瞬間を描いた一編です。タイトルにある“はじめての嘘”が象徴するように、物語の焦点は出来事そのものよりも、主人公の内面に生まれた揺らぎと選択に置かれています。本作では、外部との関係がさらに複雑化し、過去の記憶や大切にしてきた価値観までもが侵食されていく構図が際立ちます。単なる出来事の連鎖ではなく、「何を守ろうとして、何を失っていくのか」という心理の変化が、表情や間を通じて丁寧に描かれている点が印象的です。家族への視線、日常の会話、ふとした沈黙が重く響き、読者に緊張感を与えます。
