八百万★社中 これでもアイツはボクのことを友人と呼んでくれるだろうか。【八百万★社中】
タイトルが示す通り、本作は肉体的な関係そのものよりも、「友情」と「裏切り」、「見てしまった側の罪悪感」を軸に進む心理寄りの一作です。物語は、主人公・渉が偶然目撃してしまった“あってはならない光景”から静かに転がり始め、そこから感情の歯車が噛み合わなくなっていく過程を描いていきます。印象的なのは、憧れ続けてきた“大人の女性像”が一瞬で現実の存在として立ち上がる瞬間。理想と現実、尊敬と欲望、正義感と自己正当化が混線し、「罰」という言葉で自分の行動を整理しようとする主人公の危うさが、終始不穏な空気を生み出しています。本作は刺激的な設定を用いながらも、読後に残るのは行為そのものよりも「では、このあと彼は友人の前に立てるのか?」という問い。タイトルに込められた疑問が最後まで読者に突きつけられ、単なる背徳ものでは終わらない余韻を残します。関係性の歪みや、人間の弱さを描いた作品が好きな人向けの一本。感情のグレーゾーンを覗き込むような読書体験を求める人には、静かに刺さる作品です。
